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不調、ストレスの原因は「触れ合い」不足にあった!
悲しみに沈んでいるとき、困難に打ちひしがれているとき、ただそばに寄りそってくれる人がいるだけで勇気づけられたことはありませんか? 実は皮膚は、直接触れ合わなくても親密な人が近くにいるだけで相手を感じ、癒しに向けた治癒力を発揮することがわかっています。今、認知症ケアで注目されているユマニチュードの手法においても、患者に「寄りそい、見つめ、話す」行為が直接「触れる」ことと同じように重要視され、病状改善に目覚ましい効果を上げているといいます。
本書では、直接触れ合うことや、そばに寄りそうといった、親しい人との触れ合いや関わりが、いかに病気やストレスを軽減し、生きづらさや抑うつを防ぎ、幸福感を高め、元気を回復させるのかを明らかにするものです。
相手を癒すことで自分が癒される、幸福に生きるための究極のメソッド
興味深いことに、相手を癒してあげようとするマッサージなどの触れる行為が、実は自分を癒すことにつながることが著者たちの実験で明らかになりました。触れることにより互いの脳内ではオキシトシンという深いリラックス感をもたらし、ストレスを癒す働きをするホルモンが分泌されるのですが、その分泌量を調べてみると、マッサージの受け手よりも施術する側のほうが多く分泌されていたのです。
相手を癒すことで自分が癒される――、これは原因不明の不調やストレスに悩まされ続ける現代人にとって、癒しを取り戻す大きなヒントになるのではないか、と著者は指摘します。
さらに、本書ではユマニチュードをはじめ、セラピューティック・ケア、タクティールケアなど医療や介護の現場で注目されている「触れるケア」の効能についても検証します。実際に自分一人でも始められる皮膚から元気になる方法も数多く提案していきます。
ぜひ多くの方に読んでいただきたい一冊となっております。
(担当/吉田)
本書の目次から
触れなくても肌は感じている/ストレスを癒す身体のメカニズム/自尊感情が低い人ほど有効なタッチ/パートナーの有無による心理の変化/皮膚が他者を判断していた/失われた皮膚の交流/なぜ日本人は対人関係に悩むのか/抱きしめ細胞の存在/生きづらさの原因は皮膚が閉ざされているから?/境界が拓かれることで人は癒される/「人の手」で触れる意味/人間関係を改善する皮膚コミュニケーション/皮膚を拓いて、元気な自分を取り戻す…etc
1967年、静岡県生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は健康心理学・身体心理学。桜美林大学教授。臨床発達心理士。「手当て」としてスキンシップケアの効果やオキシトシンについて研究している。主な著書に『手の治癒力』(草思社)、『子供の「脳」は肌にある』(光文社新書)、『幸せになる脳はだっこで育つ。』(廣済堂出版)など多数。