大佛次郎
一八九七年横浜に生まれる。本名は野尻清彦。東京帝国大学政治学科を卒業の後、鎌倉に住み、外務省に勤務するが、関東大震災を機に文筆生活に入る。博文館の雑誌「ポケット」に『鞍馬天狗』のシリーズを連載。さらに、『照る日くもる日』『赤穂浪士』など新聞小説でで新境地を打ち出す。三〇年には軍部を批判したノンフィクション作品『ドレフュス事件』を刊行。敗戦直後の九月からは約二か月、東久邇内閣の参与をつとめた。この日記の執筆中には朝日新聞に時代小説『乞食大将』を連載している。その後『帰郷』『宗方姉妹』などの現代小説を執筆。晩年は『パリ燃ゆ』『天皇の世紀』などの史伝に力を注いだ。七三年死去。