www.soshisha.com
このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote

独学で東大教授になった著者が教える究極の勉強法

勉強ってどうやればいいの?

本書は、「大学からの勉強はどうやるものか」、そういうことをきちんと教えてくれる本が大学のときにあったらよかったのに…という思いがきっかけで始まりました。私は本書を通じて、勉強とは中身をマスターする前に、やり方をしっかり身につけることがまずは重要であることを痛感しました。スポーツでもダンスでもピアノでも、最初に基本となる型を徹底して身につけることが大事なのと同じで、勉強にも基本の型があり、それを身につける訓練が必要なのです。大学に入ったら、何を学ぶかより、まず、勉強する姿勢と取り組み方について学ぶべきだったのです。

残念ながら日本の多くの大学では基本的な「勉強のやり方」を教えてくれません。たとえ受験勉強の延長で勉強したとしても、結局は「勉強はつまらない」「社会に出ても役に立たない」となってしまい、勉強の本当のおもしろさにたどり着くことができないのがとても残念です。

本書では、受験勉強ではなく、大学で身につけておくべき勉強の型を紹介します。この型は、社会に出てからも通用する普遍的な勉強のやり方の型です。具体的には、「テーマ設定から資料収集、本の読み方、集めた情報の整理・分析、成果のアウトプット」まで 、勉強の全工程について、具体的なやり方を体系的にわかりやすく解説していきます。

なぜ独学が、一番身につく勉強法なのか?

著者の柳川範之先生は、現在東京大学の経済学部の教授を務めていますが、とてもユニークな経歴の持ち主です。高校にはまったく行っていません。ブラジルで高校の勉強を独学し、大検を経て慶応義塾大学の通信課程に入学し、今度はシンガポールで通信教育を受けながら大学の勉強も独学でマスターした、いわば、独学の達人です。

当時は、今のようなインターネット環境もなく、日本語の本がすぐ手に入る図書館や書店もない時代です。すぐに誰かに聞けない環境で、テキストの内容をマスターするのに大変な苦労をしたそうです。しかし、その独学体験をつうじて身につけた、「自分なりの目標を決めて一人で試行錯誤しながら、自分の頭で考え、学びを深めていく力」が、学者になった今、もっとも役立っていると言います。言わば、学者の研究とは、自分で新しい勉強をしていかなければならないという意味では、独学の勉強だからです。

勉強は苦しくて嫌なものだと思っている方が多いかもしれませんが、本書を読んでいけば、自分が知りたいことを知り、自分の頭で考えること、本来の学びというのは、かなり楽しいものだったと気づかされるでしょう。自分の興味や関心のあるテーマについて勉強を始めてみようかなという気持ちに変わると思います。

また、いつでも始めることができ、いつでも後戻りしたり、方向転換できるのも独学の特徴です。進路を変更したい、職場を替えたい、生き方を変えてみたい、そんなことを考えている人にこそ独学はおすすめです。将来の変化に備えるうえでも、新しい未来を切り開くうえでも、本書は役に立つでしょう。

(担当/吉田)

柳川範之(やながわ のりゆき)

1963年生まれ。東京大学経済学部教授。中学卒業後、父親の海外転勤にともないブラジルへ。ブラジルでは高校に行かずに独学生活を送る。大検を受け慶応義塾大学経済学部通信教育課程へ入学。大学時代はシンガポールで通信教育を受けながら独学生活を続ける。大学を卒業後、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。

現在は契約理論や金融関連の研究を行うかたわら、自身の体験をもとに、おもに若い人たちに向けて学問の面白さを伝えている。主な著書に『法と企業行動の経済分析』(第50回日経・経済図書文化賞受賞、日本経済新聞社)、『契約と組織の経済学』(東洋経済新報社)など。

この本のページ 草思社ブログもご覧ください

この本を購入する