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答えは「身体」の中にある! アスリートが「最適の動き」を作りだすために 不可欠な機能解剖学の知見が満載の一冊!
本書は日本トレーニング指導者協会(JATI)の機関誌『JATI EXPRESS』に連載された「GTK現場で使える機能解剖学」の内容に加筆・修正を加えて再構成した一冊です。著者はトップアスリートとしての競技歴(砲丸投げで全日本実業団優勝など)や陸連トレーナーとしての活動歴を持つ研究者で、本書ではアスリート、トレーナー、コーチ、研究者としての豊富な経験を存分に活かして、私たち人間の身体の仕組みの謎に迫っています。
「この筋肉は何のためにあるのか?」という問題意識がこの本の出発点だと著者は述べています。身体の構造や仕組みを理解していなくても、私たちは理にかなった動作を行なうことができますが、「良い動きを戦略的につくり出したり、無数にある選択肢の中から最適のものを選び出すときには、構造に関する理解が大きな助けとなります」ということです。人間の身体、とくに運動器はなんと二百余りもの骨と六百を超える骨格筋(筋肉)によって構成されているのですが、それぞれの骨の配置や形態にはすべて機能的な背景があるのです。このような筋骨格系の機能と形態とのつながりを、一つ一つ答え合わせ的に眺めてみることで、アスリートは自身の動作に潜んでいるパフォーマンスの制限要因に気づき、より効率的な動きを手に入れることができるのです。その結果、ケガを防ぐことも可能になります。
現代のトレーニング環境は以前とはすっかり様変わりしています。さまざまな動画共有サイトを閲覧していけば、世界トップレベルの競技者たちがどのようなトレーニングを行なっているのかを知ることも可能です。情報の入手という面ではかつてない恵まれた環境が整っているわけですが、「このような状況であるからこそ、競技者、指導者ともにそれぞれの手段について根拠を持って説明をつけ、判断していく姿勢と確かな能力が求められている」と著者は指摘しています。そして、手段に対する〈根拠づけ〉の大きな拠り所となるものとして、解剖学的な知識が不可欠になるのです。機知にとんだ解説とともに私たちを解剖学の世界に誘う本書は、一般のトレーニング愛好者を含むすべてのアスリートに、パフォーマンス向上のヒントを授けてくれる一冊になりそうです。
(担当/碇)