草思社

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50代。どこに住む?どう生きる?

人気建築家と考える50代からの家
湯山重行 著

50代。人生、そろそろ「B面」へ!
どこに住む? どう生きる?
セカンドライフを思いきり楽しむための
自分本位の家づくりを多面的に紹介。
実例を多数掲載!

 コロナ禍を経て、私たちは「暮らし」や「住まい」にこれまでとは全く違った考えを持つようになりました。特に団塊ジュニア世代は、50代となり、コロナや円安、終身雇用の崩壊などで残りの人生をどう生きるか、漠然とした不安を持つ人も多くいます。
 本書は、子どもがもうすぐ独立、このまま独身で生きようかと考えている、親がそろそろ要介護、定年退職が見えてきた、セカンドステージをどうするか悩み中……など、「B面の人生」に当てはまる世代に向けて住まいの再構築を提案する「生き方建築エッセイ」です。コンテナハウス・小さな家・二拠点生活・古民家・空き家活用など、新しい家へのチェンジで成功した人たちの実例を多数紹介しています。

特に読んでいただきたいのは次のようなみなさんです

・あくせくと働くのとは違った生き方があるのでは? と感じ始めた40代以降の方
・定年後の未来をまだ具体的に考えたことがない50代の方
・定年後は自宅をリフォームしてゆっくり暮らしたいと考えている60歳前後の方
・「このまま年を取っていくのか?」とモヤモヤしているすべての世代

著者からのメッセージを紹介します。

 少し前までなら決して高年収ではない普通の人が建築家と一緒に家を建てるのは、さほど難しいことではありませんでした。しかし、最近の住宅は、高断熱や高気密、大地震が来ても大丈夫な耐震性、耐火性といった機能面が喧伝され、それが良しとされる風潮になりつつあります。家はシェルターのような感覚なのでしょう。そうなると家はどうしても高くなります。土地の値段も都市部ではこの10年で大きく値上がりしましたし、資材もしかり。大手住宅メーカーなら建物だけで5000万円以上かかることも珍しくなくなってきました。マンション価格もここ10年で高騰しています。
 現在、大企業勤めや公務員でもない限り、建築家と家を建てられるのは、お金持ちか、親が土地を持っていて建築費だけで済むという方がほとんどです。でも、それだけでは虚しい。家は自分の人生を豊かにしてくれるものであるはずなのに……。
「この景色を眺められる大きな窓がある家を建てたい」――そんな自分の感性を大事にするような家づくりが私の理想です。これは土地も建物の間取りもあらかじめ決まっている建売住宅では叶えられません。とはいえ、無理をして大きな借金を背負って生きていくのも違う気がします。しかし、感性を大切にしながら家や暮らしを豊かにする方法は、家を建てる以外にもいろいろとある。であれば、エッセイのような形で建築家目線でこれからの住宅や暮らし、人生について考えるきっかけを提供することはできないだろうか? そう考えていたところに出版のお話をいただきました。雑多ではありますが、さまざまな角度でたくさんのアイデアを盛り込みましたので「こんな発想もアリなの?」「こんな生き方の人もいるんだな」と、楽しみながらあなただけの豊かな家と暮らしを手に入れていただきたいと思います。自分本位で生きられる人生のB面でなら、きっと夢が叶うはずです。

 今の生活に少しでも「モヤモヤ」を感じたとき、まずは住まいを俯瞰して見てみることを著者の湯山さんは勧めています。家を建てたり、マンションを購入したり、引っ越しを考える前に、ぜひお手に取って読んでいただきたい一冊です。

(担当/五十嵐)

目次

はじめに
家と幸せの価値観をアップデートすれば幸せは勝手にやってくる

1 人生はB面からが面白い
自分の「好き」を叶える暮らしのつくり方

人生というレコードのB面に自分だけの歌を刻もう
人生はB面からが面白い
人生のB面は「どこで暮らし、どう生きるか」が大事
身の丈サイズの暮らしを謳歌する
卒婚して一人暮らしという自由を手に入れる
浜田省吾さんが「やり残したこと」
本当はトラックドライバーになりたかった専業主婦に半年で2人も遭遇した話
上がりのクルマと下がりのクルマはどちらが幸せか?
家は人生の乗り物。ライフステージごとに替えてもいい
自分の10年後の老いを意識すると家の未来が見える?
どうせ一生働くなら気分良く稼ごう
シニア世代の自宅オフィス化計画
とはいえサラリーマンも悪くない
ローンで家を建てるならサラリーマンのうちに

2 十人十家
人生のB面が輝き始めた10人のストーリー

c a s e 1 鮮やかなグリーンのコンテナハウスを建てたKさん(57歳)
c a s e 2 ローコストハウスから一転、高機能ハウスが正解だったMさん(58歳)
c a s e 3 80代・60代で終の住処を建てたTさんご夫婦
c a s e 4 男子リノベの理想郷? Sさん(61歳)の童心の家
c a s e 5 両親が残した農家住宅で週末婚を営むIさん(63歳)
c a s e 6 両親と同居の家で趣味を満喫するNさん(57歳)
c a s e 7 空き家となった互いの実家を活用し卒婚したOさん(62歳)
c a s e 8 遺産係争中のBさん(59歳)に勧めたい出口戦略は「おひとりさまハウス」
c a s e 9 コミュニティハウスを泣く泣く断念したDさん(64歳)
c a s e 10 あと10年早ければ、実家をフル活用できたGさん(62歳)

3 人生1 0 0年をヴァカンスに変える!
人生のステージごとに家も着替えよう

プラン75まで思う存分生きる
人生100年時代のロードマップを考える
人生のステージごとに家を着替える
家は小さくていい
終の住処はいる? いらない?
高齢者は家を借りづらいというが……
小さな家を建ててみる
賃貸マンション・ホッピング!
田舎暮らしを考え始めたら
自宅を稼ぐ物件にしてお試し移住にチャレンジする方法
1970年代までに建てられた老朽化マンションは要注意
リモートワークの普及でリゾート地のマンションが人気に
リゾートマンションは年数限定で楽しむならアリ
マンションより一戸建てが良いと思う個人的な理由
70歳ぐらいでスマートハウスは卒業する?
住み替えか、自宅を担保に住み続けるか
自宅を担保に住み続けられる「リバースモーゲージ」
いったん売却し賃料を払って住み続ける「リースバック」

4 B面の人生は、こんな家に住んでみたい!
トレーラーハウスから平屋、ミニマルな二階建てまで

第二の人生、最高の住まいを手に入れるには?
奄美大島のトレーラーハウスで思ったこと
トレーラーハウスは土地とけん引免許があればいい
古民家暮らしは「初期費用がかからないなら」という前提で
3 Dプリンタ住宅の未来に目が離せない
小屋をD I Yしようとする猛者に知っておいてほしいこと
穴を掘ったり、ビニールハウスで寝てみたり
第二の人生で新築したい! という人へ
建築士を同席させてハウスメーカーで建ててみる
知人をもてなす「ハレの部屋」をつくってみる
平屋は二階建てに比べ建築費が高い
改めてオール電化住宅を考える
オフグリッドハウスはほどほどに
家は半分地下がいい!?
新築プレミアムなら建売住宅を狙うという手も
借地で良かった話
二階建てコンパクトハウスを建てて13年後の話
二階建てコンパクトハウスでこだわるべきポイント
「60ハウス」と「ぴっころハウス」

5 アラフォー住宅はこうリメイクする!
心豊かに暮らす快適住まいのつくり方

勝手に幸せがやってくる家とは?
アラサー・アラフォー住宅は早めの診断を
築40年超のアラフォー住宅、注意したいのは床
生活の一部を堅牢にする、暖かくする
余ってしまった部屋の活用法
眠りにとことんこだわってみる
寒い浴室・トイレ・キッチンは火気から電気へ
木造三階建てと時間差一夫多妻制の話
半分余った二世帯住宅の活用法
ズボラ人間の「片付け最終計画」とは
上がるニュース・下がるニュース
梅雨空をここちよく過ごす工夫
ほうきと雑巾を見直す
香りにこだわってみる
ギグエコノミーというスポット労働の可能性
過程を味わうという幸せ
母が車椅子になったら慌てた話

6 相続した実家はこう生かす!
空き家になる前に知っておきたい活用法

実家が空き家になる前にすべきこと
親が認知症になってしまうと家の処分は不可能に
空き家のまま放置しないほうがいい理由
解体して更地にする場合のコスト
0円不動産や空き家バンクを利用してみる
少し直して丸ごと貸す
移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借上げ制度」
民泊は少しハードルが高い
1時間単位で貸せるレンタルサービスで貸主となる
洋館や和風住宅ならスタジオに
古民家なら飲食事業者に貸す
スタジオとして音楽愛好家へ貸す
小規模デイサービス施設として貸す
児童福祉施設事業者へ貸す
シェアハウス事業者へ貸す
トランクルーム事業者へ貸す
コインパーキングにするのも勇気がいる
コインパーキング業者もいろいろ
駅前の空き店舗は奉仕活動の拠点として心豊かに

著者紹介

湯山重行(ゆやま・しげゆき)
1964年神奈川県生まれ。建築家・一級建築士。アトリエシゲ一級建築士事務所代表。リゾートでヴァカンスを楽しむように暮らせる「ホーム・ヴァカンス」をテーマに、開放感あふれる家づくりを得意としている。2016年に発表したシニア世代のための小ぶりな平屋「60ハウス(ロクマルハウス)」がテレビなどで話題となり、独自の視点と語り口で講演会やセミナーでも人気に。著書に『60歳で家を建てる』(毎日新聞出版)、『60歳からの家』(エクスナレッジ)などがある。
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