話題の本
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NHK大河ドラマの主人公・蔦屋重三郎を描く傑作時代小説!
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「世をひっくり返し」「新しいものを生み出す」男として描かれた傑作時代小説!
山東京伝、恋川春町の黄表紙で世を沸かせ、喜多川歌麿を磨き上げ、東洲斎写楽を産み落とした江戸随一の出版人「蔦重」。版元・編集者・流通業者であり、流行を仕掛け情報を発信する辣腕メディアプロデューサー。しかし金儲けではなく、より新しい才能を見出し育てて世に出し、日本の文化を変えることに生涯をかけた男として描かれるのが本書の最大の特色。為政者の弾圧を跳ね除け「世をひっくり返す」作品を問い続けた稀代の男の波乱万丈の生涯が、江戸の粋が息づく文体で描かれます!
ノンフィクション作家でもある著者の「緻密な考証」が作品を裏打ち!
筆者の増田晶文さんは本作や『楠木正成 河内熱風録』などの時代小説も執筆されていますが、すぐれたノンフィクション作家でもあり文藝春秋Numberスポーツノンフィクション新人賞、小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞されています。その優れた手法で“蔦重”とその時代にまつわる豊富な情報を読み込み、そのうえに等身大の魅力あふれる“蔦重”を造形。太田記念美術館の主席学芸員である日野原健司さんは、本書を「緻密な考証が浮き彫りにする蔦重の『真』の顔」と評価しています。
著者からのコメント
『稀代の本屋 蔦屋重三郎』を上梓したのは2016年、文庫化は19年のこと。
あれから6年、NHK大河ドラマ「べらぼう」で時ならぬ蔦屋重三郎ブームとなった。草葉の陰のご本人も驚いているだろうが、私だって眼を丸くしている。
蔦重は、化政文化を彩った戯作者や画工たちの裏方として存在感を示した。『稀代の本屋』では、そんな蔦重の生涯や仕事ぶり、彼を取り巻く文人墨客と真正面から向き合っている。おそらく、蔦重の「評伝小説」は本作が嚆矢のはず。不遜ながら『稀代の本屋』こそ「蔦重正伝」の自負もある。
蔦重の一生は波乱万丈、成功と受難が隣り合わせだ。しかし、彼の言葉や思想はほとんど残されていない。だからこそ、蔦重の出版活動を縦糸に据え、山東京伝や大田南畝、喜多川歌麿に東洲斎写楽、曲亭馬琴と十返舎一九ら豪華なメンバーを横糸にして、私ならではの蔦重像を紡ぎ出す必要があった。
また、本作は私にとっての初の歴史・時代小説でもある。蔦重を描くことが、作家生活の大きなターニングポイントとなった。
今、蔦重が脚光を浴びていることに感謝しつつ、数多い類書の中から『稀代の本屋』を手にして下さる読者が少しでも増えることを祈ってやまない。
増田晶文(ますだ・まさふみ)小説家
編集者からのコメント
『稀代の本屋 蔦屋重三郎』『絵師の魂 渓斎英泉』『楠木正成 河内熱風録』と傑作時代小説を書き続ける増田晶文さん。熱気とリズム感あふれる筆致は読むものをぐいぐい引き込みます。上記3点ともそれまでの人物像を大きく変えた人間味あふれる姿で描かれます。“蔦重”は江戸っ子べらんめえ調が定番ですが、本作では「ですます」の丁寧口調、笑顔でいながらびしっとツボを衝く。目の前の欲得ではなく遥かなものを果てしなく求める人間、それが増田小説の最大の魅力です。ぜひご一読ください。