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清少納言の「枕草子」に生き方を学ぶ。新しいタイプの人生指南書

ひとりになったら、ひとりにふさわしく 私の清少納言考
下重暁子 著

2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』で平安時代に注目が集まるなか、紫式部のライバルとして名高い清少納言にもスポットライトが当たっています。本書は「私は紫式部より清少納言のほうが断然好き」と公言してはばからない著者が、人生の愛読書「枕草子」をわかりやすく解説しながら、「いとをかし」的な前向きな生き方を現代のシニア世代に提案する新しいタイプの指南本。いかに生きて、いかに死ぬか? 年齢を重ねても縮こまらず、何事も清少納言のように面白がりながら意見を持ち自立して生きていくことの大切さを説く、渾身の書き下ろしエッセイです。

著者は生い立ちから死をむかえるまでの清少納言の心境を「枕草子」を、読み解くことによって自分なりに推理し、共感していきます。気の張る宮仕えをしながら、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いとはっきり綴り、四季を味わいつつ日々を重ねる清少納言の姿に、これからの生き方のヒントを見つける方も多いのではないでしょうか。著者は「清少納言の文体は俳句に近い」という自説も披露し、清少納言の文体の魅力を新たな視点で掘り下げていきます。終章では、清少納言に自らの死生観を重ね、家族や友だちと別れることになったとき、ひとりになったときにどのような心持ちで生きていけばよいかを切々と綴ります。まさに「下重暁子の新境地」となる意欲作です。

(担当/五十嵐)

〈「はじめに」より〉

平安時代の一人の秀れた女性作家と付き合うことで、なぜ清少納言に惹かれたかがわかった。その理由は、人間性である。「枕草子」からは、恥ずかしがり屋だが正直な清少納言の、生身の人間性が感じられる。(中略)清少納言の晩年に見る「あわれ」や「をかし」。それを自分のものとする機会を得た。

【目次】

第一章 なぜ今、清少納言なのか
第二章 「枕草子」の美意識
第三章 四季で知る「いとをかし」
第四章 清少納言は俳句人間?
第五章 ひとりになったら、ひとりにふさわしく

著者紹介

下重暁子(しもじゅう・あきこ)
1959年早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。同年NHKに入局。アナウンサーとして活躍後、1968年フリーとなる。民放キャスターを経て、文筆活動に。公益財団法人JKA(旧:日本自転車振興会)会長、日本ペンクラブ副会長などを歴任。現在、日本旅行作家協会会長。『家族という病』『極上の孤独』(ともに幻冬舎新書)、『鋼の女 最後の瞽女・小林ハル』(集英社文庫)、『人生「散りぎわ」がおもしろい』(毎日新聞出版)、『結婚しても一人』(光文社新書)など著書多数。
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