草思社

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フランスの人気作家が自在な筆致で「聖なる文字」の世界に誘います!

楽しいヒエログリフ入門
クリスチャン・ジャック 著 鳥取絹子 訳

 この本は、2001年に紀伊國屋書店から刊行された『クリスチャン・ジャックのヒエログリフ入門』の改題・新装版です。原題はLE PETIT CHAMPOLLION ILLUSTRÉ(図説プチ・シャンポリオン)、シャンポリオンが閉ざされていたヒエログリフの世界の扉を開いてくれたように、読者を謎めいたヒエログリフの世界へと導く一冊です。
 著者のクリスチャン・ジャック(Christian Jacq)は1947年、パリ生まれ。フランスを代表するベストセラー作家の一人で、エジプト学に通暁している研究者としても名高い存在です。『太陽の王ラムセス』をはじめ古代エジプトを舞台にした壮大な歴史小説で人気を博し、その作品は世界30カ国以上で翻訳出版され、世界での売上げは累計2700万部以上、世界でもっとも読まれている現代フランス人作家とも評されています。
「ヒエログリフを学びたいという人は増えているが、誰に聞いても最初の一歩がいちばん難しいという。そこで私は、そういう人たちのために、楽しみながらヒエログリフの仕組みを身につけられる本を書きたいと思った」(著者)
 というのが、本書の執筆理由です。手練れの書き手が自在な筆致で古代エジプト人の生活ぶりや世界観もたくみに盛り込ながら、「聖なる文字」(ヒエログリフ)の基本をわかりやすく面白く教えてくれるのがこの本なのです。お読みいただければ、古代エジプトにも私たち現代人と同じように、喜怒哀楽に満ちた日々を生き抜いた人々がいたのだということも感じられる本です。ヒエログリフに関心を持った読者に最初に手に取っていただきたい一冊であると同時に、古代文明に関心がある読者や、ちょっと変わった言語に興味があるという読者にもぴったりの内容かもしれません。
 人類の文明の礎を築いた古代エジプトの人々に思いをはせながら、ヒエログリフという謎に満ちた言葉を満喫していただけたら幸いです。

(担当/碇)

【本書「はじめに」より】

 本書は、読者を一人前のエジプト学者にしようとか、新聞を読むようにパピルスを読めるようにしようというものではない。そんなのは大それた望みだ。そうではなく、あなたにヒエログリフの精神を初歩から手ほどきし、魅惑的な世界の内側へ数歩でもお招きするための本だ。ヒエログリフを正しく読み、難解なテキストを解読できるようになるには、何年もの勉強が必要だ。なかにはいまだに秘密を隠し、謎だらけのものもあるのだから。
 それでも、ヒエログリフが「どのような仕組みなのか」を理解するのは可能だし、なにより、ヒエログリフによって古代エジプト人の世界観を共有できる。古代エジプト人は、私たちの文化の母ともいえる、文明の創始者だ。ヒエログリフの世界を散策し、いろいろな絵文字が語りはじめるときの、あのわくわくする喜び! それをぜひあなたにも味わってもらいたい。
 また、この本には面倒な文法の話はなく、触れたとしてもごく控えめなので、ご安心を。私としては、ヒエログリフの基礎をまず知ってもらうために、あくまでもわかりやすい方法で、いくつかの基本的な要素だけを紹介するつもりだ。何も難しがることはない。絵が重要な役を演じるからだ。ほらあなたも、本を読む前に、ヒエログリフを見ているのでは? 少しでもヒエログリフを実際に使ってみると、アヒルやその仲間たちを身近に感じられるようになる。……同じ一つの記号のなかに、考えと、イメージと、音まであるのだから、これこそまさに完全な言語といえないだろうか?
 エジプトは陽気な文明で、何よりも生きる幸せが優先されていた。この小さな本で、読者のあなたに、エジプト人いわく「ヒエログリフに酔っぱらって」もらえれば……、つまり、ヒエログリフを肴に楽しんだり、喜んだりしてもらえれば、著者としてこれほど嬉しいことはない。

【目次】

はじめに

第Ⅰ部 ヒエログリフとの出逢い
第1章 シャンポリオンの偉業
第2章 聖なるヒエログリフ!
第3章 ヒエログリフの仕組みは?
第4章 おかしなアルファベット
第5章 「はい」と「いいえ」がない!?

第Ⅱ部 ヒエログリフが語る生命
第6章 生命とは何?
第7章 ファラオとの出会い
第8章 高官たちの宮廷で
【練習問題1】
第9章 ヒエログリフの空は頭の上に落ちてこない
第10章 ヒエログリフで時間をみよう
第11章 ヒエログリフの自然
第12章 おしゃべりな動物たち
第13章 男と女の話
第14章 体がヒエログリフになると?
【練習問題2】
第15章 ヒエログリフの愛
第16章 親と子ども
第17章 いろいろな名前
第18章 ヒエログリフの学校へ行こう!
第19章 読んで、書く
第20章 数えて、測る
【練習問題3】
第21章 ヒエログリフの言葉
第22章 ヒエログリフで考えよう
第23章 ヒエログリフで「創造」しよう
第24章 美しい真実について
第25章 神々とともに
第26章 よい町にあるよい家
第27章 食卓につこう!
第28章 健康であるかぎり!
【練習問題4】
第29章 医者にかかる
第30章 働く一日
第31章 所有するにも努力が必要
第32章 ヒエログリフは旅人
第33章 戦争だ!
【練習問題5】
第34章 老いと落ち着き
第35章 永遠のためのヒエログリフ
【練習問題6】
付録 遺跡のなかのヒエログリフ

訳者あとがき

著者紹介

クリスチャン・ジャック(Christian Jacq)
1947年、パリ生まれ。フランスを代表するベストセラー作家。エジプト学者としても名高い。『太陽の王ラムセス』『ピラミッドの暗殺者』など、古代エジプトを舞台にした壮大な歴史小説で世界中にファンを持つ。その作品は世界30カ国以上で翻訳出版され、世界での売上げは2700万部以上、世界でもっとも読まれている現代フランス人作家と評されている。

訳者紹介

鳥取絹子(とっとり・きぬこ)
翻訳家、ジャーナリスト。主な著書に『「星の王子さま」隠された物語』(KKベストセラーズ)など。訳書に『崩壊学』『感染症の虚像と実像』『日本最後のシャーマンたち』(以上、草思社)、『ウクライナ現代史』(河出書房新社)、『地図で見るアフリカハンドブック』(原書房)、『シューベルトの手当て』(アルテスパブリッシング)など多数。
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