草思社

話題の本

このエントリーをはてなブックマークに追加

伝説の少女が食べた「人魚」とは何だったのか?

日本の人魚伝説
髙橋大輔 著
日本の人魚伝説

探検家が「人魚のモデル」とされる動物の諸説を徹底検証

遠い昔、若狭湾に臨む小浜(おばま)で人魚の肉を食べ、
永遠の若さを手にした少女がいたという。
彼女は尼となり日本各地を遊行して800年生き、
「八百比丘尼」(やおびくに)と呼ばれた。
彼女が食べた「人魚」とは一体何なのか──?
ジュゴン、アザラシ、アシカ、リュウグウノツカイから
オオサンショウウオ、サメまで、
人魚のモデルとされる動物の諸説を徹底検証し、
「日本の人魚」の正体に迫る異色のノンフィクション!

(担当/貞島)

[プロローグより]

わたしは玉手箱を開けて老人になる浦島と、
人魚を食べて不老長寿になる八百比丘尼(やおびくに)伝説が
同じ若狭湾に伝わっていることを不思議に感じた。
そして不老長寿になった乙女が食べた人魚に興味を惹かれた。
西洋と東洋の人魚の歴史を解説した『[図説]人魚の文化史』は、
現在広く知られている欧米由来のマーメイド型人魚(人魚姫)とは異なる、
日本固有の人魚(怪物)が古くから存在したと記している。
八百比丘尼伝説を追跡することで日本の人魚の正体に迫ることができるのだ。
また、八百比丘尼伝説の人魚の肉を明らかにすることで、
不老長寿の秘密にも迫ることができるはずだ。
歴史、民俗、動物学などの知識を駆使して八百比丘尼が食べた人魚を探れば、
日本のUMA(ユーマ)としての人魚の正体を突き止めることができるであろう。
われわれ日本人にとって人魚とはどのような存在なのか──。
伝説と現実が重なる世界の扉が開き始めた。

目次

第一章 人魚を食べた少女の故郷――小浜
第二章 南海の人魚 ジュゴン――沖縄
第三章 淡水の人魚 オオサンショウウオ――石川・和歌山・滋賀・岡山・福島
第四章 北洋の人魚 アザラシ・アシカ――隠岐島
第五章 深海の人魚 リュウグウノツカイ――富山・福岡・新潟
第六章 検証から新たな仮説へ――小浜・美浜町
第七章 ドキュメンタリー番組――内外海(うちとみ)半島
第八章 伝説を読み解くコード――小浜・出雲

著者紹介

髙橋大輔(たかはし・だいすけ)
1966年、秋田市生まれ。探検家。「物語を旅する」をテーマに、世界各地に伝わる神話や伝説の背景を探るべく、旅を重ねている。2005年、米国のナショナル・ジオグラフィック協会から支援を受け、実在したロビンソン・クルーソーの住居跡を発見。2022年に王立地理学協会(ロンドン)より勅許地理学者(CGeog)の称号を受ける。著書に『漂流の島 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う』『国境の人 間宮林蔵』(いずれも草思社)、『12月25日の怪物』(草思社文庫)、『剱岳 線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む』(朝日新聞出版)、『最高におもしろい人生の引き寄せ方』(アスコム)、『仮面をとった浦島太郎』(朝日文庫)などがある。
この本を購入する