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勇気を与えられる「女たち」の物語
本書は、フィンランド人作家ミア・カンキマキによる第二作です。デビュー作『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』は、遠い平安朝に生きた憧れの女性「セイ」を追いかけて、ヘルシンキから京都、ロンドン、プーケットを旅する長編エッセイでした。
今作でも著者をめぐる状況はそれほど変わっていません。「私は四十二歳。独身、子なし、仕事なし。住んでいた家を売り、第一作を書きあげ、勤め先を退職した」「見通しは最悪で、つぎになにを書けばいいのか本当にわからない」。
そんな語り手が今作で追いかけるのは、カレン・ブリクセン、イザベラ・バードといった十九・二十世紀の女性探検家たちと、ソフォニスバ・アングイッソラ、ラヴィニア・フォンターナといったルネサンス期の女性画家たち、そして現代芸術家である草間彌生です。彼女たちの自伝や伝記を紐解きながら、その足跡を辿って、アフリカ、イタリア、日本を旅します。
憧れの女たちの中でも特に十人については、本文に彼女たちからの助言が差し込まれるという構成になっています。例えば「自分のしたいことをせよ。私は描く」というのは、ルネサンス期の画家ソフォニスバに迫った語り手が、獲得した言葉です。
「憧れの女たち」といっても、必ずしも恵まれた環境に生きた者たちではありません。時代や社会の制約の下で、それぞれ何かを成し遂げた姿が生き生きと描かれ、そこから執筆への意欲を得る著者の文章によって、読み手もまた勇気を与えられます。
ままならない状況の中で思い悩んでいる夜にこそ、読んでいただきたい一冊です。是非ご高覧ください。
(担当/渡邉)
内容紹介
私は見つけた。
自分たちのしたいことをした女たちを――。
四十代、独身、子なしの女性作家は、
十九・二十世紀の探検家やルネサンス期の画家ら、理想の女たちを追い求めて、
アフリカ、イタリア、日本を旅する。
『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』に続く長編紀行エッセイ。
カレン・ブリクセン、イザベラ・バード、
ネリー・ブライ、ラヴィニア・フォンターナ、
アルテミジア・ジェンティレスキ、草間彌生――。
賢明で勇敢、そして情熱溢れる女たちの生涯を辿りながら、
女性が生きることの本質に迫る。
「私はM。四十三歳。
夜に女たちを思って何年も経つ
――セックスのこととはなんら関係はない。
人生が、恋愛が、置かれた状況がつまらなくて、
恐ろしい悪夢が永遠に終わらないように感じられると、
私は眠れずに夜に女たちを思ってきた。
そうした夜は、歴史上の女たちに
目に見えないボディーガードや守護聖人になってもらって、
私を前へ引っ張ってもらう。」(本文より)
目次
I 夜の女たち:告白
第一部 アフリカ
II 白い霧、冬――夏
キリマンジャロ行きの飛行機に乗り、怖くなる
カレン・ブリクセン
III アフリカ、五月
カレンから勇気をもらうため、そしてサバンナへたどり着くため、アフリカへいく
第二部 探検家たち
IV カッリオ――ヴィヒティ、夏
ヴィヒティの屋根裏部屋で女性探検家たちを見つけて、世界をまわる
イザベラ・バード
イーダ・プファイファー
メアリー・キングスリー
V 京都、九月
鬱改善旅行で日本へいく(またも大荷物で)
アレクサンドラ・ダヴィッド゠ネール
ネリー・ブライ
荷造り下手な人top3
第三部 芸術家たち
VI フィレンツェ、十一月
これといった理由もなくフィレンツェへいって、ウフィツィの女たちについて書くことになる
ソフォニスバ・アングイッソラ
ラヴィニア・フォンターナ
アルテミジア・ジェンティレスキ
VII カッリオ――マッツァーノ、冬――春
書く暇もないほど楽しいアーティスト・イン・レジデンスへいく
VIII ローマ――ボローニャ――フィレンツェ再訪
IX ノルマンディー、秋
大西洋岸で私の夜の女たちを思い、メリーゴーラウンドのキリンに乗る
草間彌生
X 魔の山
謝辞
訳者あとがき
参考文献