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プロ野球界のレジェンドたちも共感。東日本大震災から15年の今こそ読んでおきたい再生の物語。

夜明けのバッティングセンター
――3・11で7人の家族を失った息子と私の15年
千葉清英 著 藤澤志穂子 協力
夜明けのバッティングセンター

2011年3月11日。
東日本大震災の津波は、宮城県気仙沼市で暮らしていた著者から、家族7人の命を奪いました。
生き残ったのは、幼い息子と、父である著者――たった2人。
あまりにも大きな喪失に、涙すら出ない日があったといいます。
「なぜ、自分だけが生き残ったのか」
答えのない問いが、胸の奥で何度も繰り返されました。
「すべてを終わらせたい」と思ったこともあった。
それでも、父は崩れ落ちるわけにはいきませんでした。
生き残ってくれた息子がいる。だからこそ、著者は父であることを、やめるわけにはいかなかったのです。
そんなある日、息子がふと口にします。
「僕はお父さんに連れてきてもらえるからいいけど、バッティングしたくてもできない友だちが、たくさんいるんだ。近くにバッティングセンターがあればいいのに……造れないかな」
その一言で、止まっていた時間が動き出します。
失われた日常を、もう一度取り戻したい。
子どもたちが笑える場所を、この町に残したい。
牛乳販売店を営む著者は、夢の実現のためにヨーグルト飲料「希望ののむヨーグルト」を開発し、全国で販売。
その収益を建設資金として積み重ね、周囲の支えを受けながら、ついに「気仙沼フェニックス・バッティングセンター」を完成させました。
本書『夜明けのバッティングセンター』は、震災の記録であると同時に、喪失の底から「生き直す」ことを選んだ父と息子の物語です。
さらに、著者に共感した王貞治さん、掛布雅之さん、小久保裕紀さん、池山隆寛さんら、プロ野球界のレジェンドたちの言葉も収録されています。
絶望の中でも、人はもう一度立ち上がれる。
そのことを静かに、そして確かに教えてくれる一冊です。

(担当/五十嵐)

目次

はじめに

第1章 どんな夜でも朝はくる
38年越しの夢の舞台「甲子園」のマウンドに立った日
遠くても光は見える
バッターボックス7席のバッティングセンター
ミスタータイガース、気仙沼へ。心に響いた熱い一日
仙台育英高校の球児たちと酒井法子さんの来訪
いつかメジャーリーガーにも訪れてほしい
地元の子どもたちに背中を押されて
一度は「楽になりたい」と思ったことも……
どんな夜でも朝はくる―ある詩集がくれた言葉
恩を着せずに生きると相手に心が伝わる
父の足を洗って、わだかまりが消えた

Column 1
「ファーストペンギン」という共通項  佐藤涼さん

第2章 調布市から気仙沼市へ
幼少期のやけど事件から始まった野球との出合い
混乱の家庭で育ち、自立心が芽生えた
野球に夢中になり中学校ではエースで4番に
東京都立南野高校野球部で見た甲子園への夢
神宮球場のマウンドに立てた最後の夏
就職、そして妻との出会い。気仙沼へつながる縁
借金返済と再出発。逆境が教えてくれたこと
気仙沼での新たな出発と義父との日々
復興の地に届ける「希望ののむヨーグルト」

Column 2
千葉さんと乗り越えた震災  小野寺由美子さん

第3章 人生を変えた息子の一言。「バッティングセンター、造ってよ」
息子と続けたキャッチボール
「バッティングセンター、造ってよ」
建設費1億円に「千葉さん、頭おかしくなっちゃった」
行き場を失った牛乳から生まれた新商品
石巻市の「ド根性ひまわり」に励まされて
人手、資材不足と天候不順で工事が中断
バッティングセンターにこだました快音
手探りの子育てと息子の成長

Column 3
取材で知り合った千葉さんに魅せられて  齋藤国夫さん

第4章 忘れてはいけない。2011年3月11日14時46分
風化させてはならない震災の現実
最後の団らん、最後の食卓
この体だけで、どう生きていくのか
家族の法要と娘の卒園式
義父が築いた信頼に助けられて

Column 4
「震災つながり」が結んだ阪神タイガース・掛布雅之さんとの縁  田中雅久さん

第5章 天国の家族が誇りに思ってくれる人生を歩み続けたい
憧れのヒーロー、王貞治さんとのご縁
小久保裕紀さんからいただいたエールを胸に
「希望ののむヨーグルト」を応援してくれた池山隆寛さん
林家カレー子さん・まる子さんと一緒にエコ&防災活動
大谷ノブ彦さんと始めた気仙沼フェニックスフェス
能登、神戸。被災地との新たなつながり
漁師食堂、「おかえりモネ」のカキ養殖場、サメ革グッズ店
天国の家族が誇りに思ってくれる人生を歩み続けたい

Column 5
震災、心臓移植を乗り越え、再びバッティングセンターで働きたい  小野寺教洋さん

父と同じ強さで人生に向き合っていきたい  千葉瑛太

おわりに

著者紹介

千葉清英(ちば・きよひで)
株式会社千葉一商事代表取締役社長。「気仙沼フェニックス・バッティングセンター」運営者。1969年東京都生まれ。1988年 東京都立南野高等学校(現・東京都立若葉総合高等学校)卒業後、(株)坂口入社。1998年に結婚し、妻の実家がある宮城県気仙沼市へ移住。2003年(株)千葉一商事に入社し、2009年代表取締役に就任。2011年3月11日に発生した東日本大震災で7人の家族を亡くす。2014年に「気仙沼フェニックス・バッティングセンター」をオープン。東日本大震災の体験、防災の大切さを伝えるため、講演活動を行う。

協力者紹介

藤澤志穂子(ふじさわ・しほこ)
ジャーナリスト。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。1967年東京都生まれ、学習院大学法学部政治学科卒業。早稲田大学大学院文学研究科演劇専攻修士課程(映画学)を経て1992年、産経新聞東京本社入社。社会部、経済本部、外信部、米コロンビア・ビジネススクール客員研究員(2006〜2007年)などを経て、秋田支局長を最後に2019年退社。放送大学非常勤講師(メディア論)、広島県の公立大学の広報課長を経て2021年から外資系コンサルティング会社で危機管理広報、メディアリレーションなどに従事。並行して執筆を続けている。著書に『出世と肩書』(新潮社)、『釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝』(世界文化社)、『学習院女子と皇室』(新潮社)、『駅メロものがたり』(交通新聞社)がある。
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