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「撮る」ことは、ともに生きること——知られざる風俗の世界に迫る渾身のノンフィクション

風俗カメラマン
――「姫」を輝かせる者たちの世界
山田厚俊 著
風俗カメラマン

「風俗嬢を『撮る』ことは、彼女たちとともに生きること」——この言葉に、思わず立ち止まった方も多いのではないでしょうか。
本書は、元風俗嬢インフルエンサー/作家・まりてんさんが「共鳴!」と太鼓判を押す、風俗の世界を真正面から描いたノンフィクションです。
取材を手がけたのは、もともと風俗とは距離のあった1人のライター。「究極の接客業」ともいえるそのリアルな現場に触れるうち、表層的なイメージでは決して語れない奥行きに惹き込まれていきます。
徹底した取材で見えてきたのは、単なる仕事としての風俗ではなく、誇りを持って働く人々の人生があり、悩みや葛藤を抱えながらも前に進もうとする姿でした。
本書の大きな軸となるのが、風俗嬢を撮影する写真家たちの存在です。
彼らはただ「きれいな写真」を撮っているわけではありません。女性たちと向き合い、言葉を交わし、その人の人生ごとフレームに収めようとシャッターを切ります。
真摯に働く「姫」たち。厳しい環境の中で試行錯誤を重ねる経営者たち。
それぞれの立場で懸命に生きる人々の姿が、ヒューマンドラマとして丁寧に描かれていきます。
読むうちに、「風俗」という一括りの言葉が、どれほど多くの個人を見えなくしてきたのかに気づかされるはずです。
巻頭には、取材した9人のカメラマンによる風俗嬢の写真を掲載。さらに、レタッチ前後の“ビフォー・アフター”写真も収録され、圧倒的な美しさに心を奪われます。
本書は、風俗を肯定するための本でも、否定するための本でもありません。
ただ、そこに生きる人たちを“ひとりの人間”として見つめ直すための1冊です。
「知らなかった世界」を覗くことは、少し勇気が必要です。
しかしその先には、これまでとは違う視点で社会を見るきっかけが待っています。
風俗という言葉の向こう側にある、もうひとつの現実。
その重さと温度を、ぜひ本書で体感してみてください。

(担当/五十嵐)

目次

第1章 令和に台頭した〝喜多川歌麿、東洲斎写楽〟たち
始まりは一通のはがき
大河ドラマも「吉原」にフォーカス
風俗カメラマンの歴史
扇情カメラマン・酒井よし彦(スタジオME–CELL代表)
〝鳴る写真求道師〟・とうごう晃士(STUDIO AND代表)
デジタルカメラの歴史

第2章 なぜ彼女たちは「風俗写真家」になったのか
元風俗嬢写真家・ATARU
元コスプレフォトグラファー・イチノセ
〝風カメ界の長澤まさみ〟・チチ
ラブホ女子会撮影の新星・奥山まめ
〝被写体〟風俗嬢たちの「写真家選考基準」
風俗業界を変えたネットとSNS

第3章 躍動する風俗写真家と支える人々
杜の都の〝光の魔術師〟・内海貴之(Uchimi Photo Office代表)
遅咲きの〝女性ファースト職人〟・KOHAKU(こはくスタジオ代表)
変幻自在な〝ジャズスタイル写真家〟・夜凪
女性スタジオ経営先駆者・いちごしょら(manége代表)
レタッチの魔法使い・瑞月(Atelier JIL代表)
風俗応援団長・キッコー万太郎(Iwaki Of Dreams代表)

第4章 風俗業界の今
風俗業界最大イベント「フーフェス」
性風俗専門行政書士・髙村 直(ごたんだ行政書士事務所代表)
風俗業界の変遷
首都圏最大グループ総帥・淺奥 実(ウルトラグループ会長)
業界インフルエンサー・まじめ社長(スタイルグループ創業者、現・風俗コンサルタント)
風営法改正で変わる? 今後の風俗業界
〝箱推し顧客〟獲得大作戦・山本一馬(Hip’sグループ会長)
「風俗カメラマン協会」発足へ

著者紹介

山田厚俊(やまだ・あつとし)
1961年、栃木県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真応用科卒。建設業界紙記者、タウン紙記者を経て95年4月、読売新聞大阪本社元社会部長の黒田清氏が主宰する「黒田ジャーナル」に入社。阪神・淡路大震災取材に従事する。96年3月、同社から出向の形でテレビ朝日の「ワイド!スクランブル」立ち上げスタッフに加わる。その後、「やじうまワイド」に参加。2000年7月、黒田氏が膵臓がんで逝去したため「大谷昭宏事務所」に転籍。02年10月、活動場所を活字に戻し、週刊誌を主戦場にする。09年1月、同事務所を退社し、フリーに。現在、永田町を中心に取材活動を行うとともに、音楽関係や社会事象についても取材している。25年3月、国民民主党代表の玉木雄一郎著『「手取りを増やす政治」が日本を変える 国民とともに』(河出書房新社)では編集を務めた。
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