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日本には100年続く「奇跡の映画館」があった。まさにこれは昭和のシネマパラダイス!

かつて映画館は、街のあちこちで地域文化の鼓動を伝える心臓部でした。時は流れ、シネコンや配信が当たり前になった今も、日本各地にはひっそりと、けれども力強く息づく「百年映画館」が存在します。
著者の藤井克郎さんは、長年映画界を見つめてきたベテラン記者。「実は、創業100年を超える映画館が今も全国に残っているんです」……ご本人から聞いたときは、少々驚いてしまいました。戦争、そして新型コロナ禍。幾多の困難を乗り越え、令和の光を浴びるその姿は、まさに奇跡と呼ぶにふさわしいものです。
「堅苦しい論文ではなく、私的な旅の感想として綴りたい」
著者のそんな想いから始まった本書は、まるで一編のロードムービーを見ているかのよう。閉館の危機を何度も乗り越え、「ここだけは守りたい」と地域の人々がつないできたバトンの重みが、行間から伝わってきます。
映画館のみならず、旅先で出合う旨い酒やご当地料理、そして街と映画をこよなく愛する方たちのさまざまな個性も魅力的。著者の撮影による写真と、ヤマザキゴービンさんのあたたかなイラストが、古き良き「百年映画館」の姿を鮮やかに引き立てます。
読み進めるうちに、配信では決して出合えない「カタカタと音を立てて回る映画の魔法の魅力」に包み込まれ、不朽の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』を思い出す方も多いかもしれません。
映画好き、昭和好き、そして旅好きな方に、ぜひお手に取っていただきたい一冊です。
(担当/五十嵐)
目次
第1章 時は春、いざいにしえのシネマの旅へ
上田映劇 長野県上田市
薄くなっていたピンクの壁
帝国劇場からの書状
小津安二郎、黒澤明もロケ地に
各店秘伝の美味(おい)だれ焼き鳥
映画館に登校する子どもたち
日本中を旅する「映劇はんこ」
柳並木の枝を切り落とした巨匠
「現世利益」をお願いして
高崎電気館 群馬県高崎市
ソウルフィルムは「ここに泉あり」
キャバレーも入居する箱に建て替え
たっぷりおしゃべりも魅力の映画祭
町の文化拠点「シネマテーク」の誕生
カトリーヌ・ドヌーヴと握手
歌舞伎町にも佐世保にもなり切る
絶品「絶メシ」焼きまんじゅう
日本三大名段の温泉街でもロケ数々
高田世界館 新潟県上越市
令和最初の日の夫婦旅行
ひっそりとピンク映画を上映
あの落語家が「残さなあきまへんで」
大林宣彦の来館時に起きた奇跡
日本スキー発祥の地が育む地酒
入場料500円で世界を見学
SNSでバズったカルト映画の雪像
雪国のぬくもりにじむ「虹の彼方に」
第2章 初夏、カタカタカタとフィルムは回る
ロイヤル劇場 岐阜県岐阜市
柳ヶ瀬は歌もシネマも昭和風
夢に見たゴジラ対ガメラ
終戦翌月にはバラック建てで興行
映写技師の心配は雷の位置
青雲館で映画を学んだ篠田正浩
長良川の稚鮎を肴に濃姫を一杯
新京極や千日前にも匹敵するにぎわい
名古屋に息づく四十年映画館
本宮映画劇場 福島県本宮市
「ほんとの空」の下のピンクの映画館
ローマの次はハワイへの旅?
「警察日記」のロケにぎゅうぎゅう
眼科がきっかけで45年ぶり活気
「もぎりさん」との遭遇
ぎしぎしざわざわカタカタカタ
木戸銭を払うだけで異世界体験
日の目を見た桃色秘宝フィルム
第3章 猛暑の夏、真っ暗闇の涼やかな空間で
豊岡劇場 兵庫県豊岡市
コウノトリならぬ不死鳥のごとく
リム・カーワイがほれ込んだ欧風の景観
恩返しではなく「恩送り」
コロナ禍で直面した2度目の試練
大好きなロビーに響くジャズの調べ
顔が見える町の手伝いたくなる場所
お風呂も食事もはしごの城崎温泉
未来の子どもたちへ「ペイ・フォワード」
大黒座 北海道浦河郡浦河町
戦後初の三冠馬、シンザンとの対面
ほぼ年中ストーブをたいている
娘婿が営むバインミーのキッチンカー
映画を見る人生の方が豊かです
5年ぶり活動弁士がうなる阪東妻三郎
道内のどこかで獲れたホタテの刺し身
クラス全員で「セロ弾きのゴーシュ」鑑賞
「石にかじり付いても守る」はない
長野相生座・ロキシー 長野県長野市
まずは一箸、何もつけずに食す
善光寺門前の歓楽街、権堂のブランド力
今も創建時のまま、明治の木造梁構造
133年の歴史の一部分にいるだけ
狭い路地の奥にたたずむ扇情の宿
QRコード付きのチケットで入場
話しかければ返してくれる心地よさ
ご本尊と結縁しても「明かりはつけない」
第4章 収穫の秋、映画をことほぐお祭りに
森文旭館 愛媛県喜多郡内子町
天井からこぼれ落ちる一つ星
木蠟で栄えた面影を残す町並み保存地区
トタン板の修理で止まった雨漏り
山あり川ありで空港からも近い
映写機を切り替えるチェンジマークの緊張
映画祭の開幕を告げる水戸黄門
来館はかなわなかった高倉健からの手紙
下駄履きで来ることができる気安さ
萬代舘 岩手県二戸郡一戸町
全車満席の新幹線に奥の手で乗り込む
全面改修でも残ったテケツ跡
ピンク映画の音声に小学生が聞き耳
ギャラの出ない日本一の貧乏映画祭
可動式座席を取っ払えば打ち上げの懇親会場に
サバ缶で出汁を取った「ひっつみ汁」
5円玉2枚を「10円に両替してくれや」
国鉄の機関区が去った後に残ったものは
ここにも百年映画館が……
おわりに
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